2021年12月22日水曜日

【ネスペ過去問解説】令和3年度 午後Ⅰ 問2-設問3

 今度はOSPFの仕組みについて!

OSPFの問題はまだまだ続きます。勉強していた人にはラッキーな問題ですね。
(楽しいし。)
頑張って満点いこう!では、始めます!

※他の過去問の解説はこちらから
https://nwspgogomon.blogspot.com/2021/12/blog-post.html 

設問3.[OSPFによる経路制御]について(1)~(4)に答えよ。


(1)本文中の下線②について、この機能を使って経路を集約する目的を、25字以内で述べよ。


まず、下線②の前後は以下です。

設問1にあったように、支社の経路は172.16.0.0/16に集約されます。
なぜ、経路を集約するかというと簡単です。
ルータやスイッチは、登録されている経路の数が少ない方が負荷が低いからです。
(人間と同じでたくさんあるものの中から1つを探すより、少ないものの中から探す方が機械も楽なのです。)

 答え.ルーティングテーブルサイズを小さくする。


(2)本文中の下線③について、経路を集約する機器ぞ図1中の機器名で答えよ。

まず図1は以下です。

次に下線③は以下です。


さきほどからくどいように言っているように支社のルーティング情報が集約されています。
OSPFエリアの境界となっている機器にて集約を行うと都合が良いため、答えは、エリア0と
エリア1の境界にいるルータとなります。

 答え.ルータ


(3)本文中の下線④についてルーティングループが発生する可能性がある機器はどの機器とどの機器の間か。二つの機器を図1中の機器名で答えよ。


今回のルーティングループについては、実際のネットワークでもしょっちゅう発生します。
特に経路を集約するとやってしまいがちなミスです。
何が言いたいかというと、支店のネットワークは172.16.0.0/16に集約されていますが、実際使われているのは、172.16.0.0/23~172.16.12.64.26の範囲だけということです
もっと言うと、172.16.12.128/26~のネットワークは存在しないのに、ルーティングの範囲なのです。

上の文章でピンときますか?
例えば、このネットワークにおいて支社のパソコンから、172.16.13.0/24あての通信が発生した場合は、以下の現象が起こります。

①支店のPCは、デフォルトゲートウェイであるルータに聞きに行きます。
②ルータは172.16.13.0のネットワークを知らないので、「デフォルトルートであるFWに
 聞け!」という動きをします。
③FWにはOSPFで配布された「172.16.0.0/16はルータに聞け!」というルーティング情報
 を持っているので、ルータに戻します。

うーん。②と③でピンポンしてしまいますね。
ちなみにOSPFでは通常ルーティングループは発生しないように作られています。
が、、、設問2にもあったようにデフォルトルートはFWに、OSPFで強引に配布されていますし、本文中の以下の文章のようにFW側としても内部ネットワーク(172.16.0.0/16、172.17.0.0/16)と考えてます。



ピンポンの原因はこれですな。
ということで、ピンポンする機器はルータをFW。

 答え.ルータ、FW

(4)表2中の[ f ]、[ g ]に入れる適切な字句を答えよ。


今度は(3)のルーティングループを解消する方法についてです。
[ f ]と[ g ]の周辺の文章はこんな感じです。


表2のネクストホップに「Null0」とありますね。
これは、注記にもあるように「[ g ]あての通信は破棄するぞ!」という動きをします。

(3)の解説にもありましたが、ルータが「172.16.0.0/16のルーティング情報は俺に聞け!」と言っているにも関わらず、「172.16.13.0のネットワークってどこよ?」と他の機器に聞いてしまったら、みんな混乱します。
(たまにこういう人がいますが、その時は「あなたですよ」と優しく教えてください。)
なので、以下のようにルータでNull0を使って破棄しないといけません。


 答え.f:ルータ、g:172.16.0.0/16

さいごに

だんだん深くなってきました。それにしても「ルータ」という答えが多くて不安になりますよね。マークシートでも同じ番号が続くと焦ります。
でもこれは出題者の罠だと思って、自信をもって答えてください。