まずは、OSPF基本設定です。
ネットワークスペシャリストの令和3年度午後Ⅰ-問2で採用されている動的ルーティングのプロトコルOSPFについて、その概念と実際のConfigの設定を基に解説していきます。
過去問を解いてない方はサイトマップを見てください。
あと、今回作るネットワーク構成の説明は、こちら↓を読んでください。
OSPFとは
「動的ルーティングを実現するためのリンクステート型のルーティングプロトコル」というのが一般的な説明です。
またまた言葉だけでは難しいです。要は、ルータやL3スイッチなどが、互いに接続(リンク)の状態(ステート)を交換しあい、経路情報を自動的に作るためのプロトコルです。
各機械はそれぞれ、交換しあったLink情報を基に最適なルート(経路)を作っていきます。
Configでの説明(OSPFの基本設定)
理論の詳細はググってみてくださいませ。
実際のConfigで説明しますね。
まずは、前回と同様に本社で動的ルーティングを作ってみます。
本社の構成は以下です。(ルータとFWの設定は、次回以降に説明します。)
L3SW4の設定(かなり抜粋)
L3SW4は、172.17.0.0/25のネットワークと172.17.2.0/23、172.17.4.0/23のネットワークに接続しています。この場合のOSPFは以下のように設定します。L3SW4#show running-config
① ip routing
② interface Loopback0
ip address 1.1.1.4 255.255.255.255
③ router ospf 1
④ router-id 1.1.1.4
⑤ network 172.17.2.254 0.0.0.0 area 0
⑥ network 172.17.4.254 0.0.0.0 area 0
⑦ network 172.17.0.252 0.0.0.0 area 0
①で、L3SW4の中でルーティングができるように宣言します。
②で、ループバックアドレスを定義します。「ループバックアドレス」は特殊なIPアドレスでその機器自身のアドレスになります。
③で、OSPFを使うぞ!と宣言します。
特に指定がないなら、
各機器で同じ番号を指定しましょう。
④で、ルータIDというOSPFのグループ内での識別子を設定します。
ルータIDはIPv4のアドレスで設定するのですが、書かなくても自動で自分の機器内のIPアドレスを拾ってつけれらます。
ただし、自動でつけられたルータIDはそのアドレスを持つインターフェースがダウンしたりすると面倒なことになるので、基本的には「ループバックアドレス」をつけてトラブルを防ぎます。
⑤~⑦で、OSPFを使って交換するためのネットワークが接続されているインターフェースを指定します。(ワイルドカードの書き方については、また別の機会に)
L3SW5の設定(かなり抜粋)
L3SW4と同じ考え方になります。そんでもってConfigは以下です。
L3SW5#show running-config
① ip routing
② interface Loopback0
ip address 1.1.1.5 255.255.255.255
③ router ospf 1
④ router-id 1.1.1.5
⑤ network 172.17.6.254 0.0.0.0 area 0
⑥ network 172.17.8.254 0.0.0.0 area 0
⑦ network 172.17.0.251 0.0.0.0 area 0
動作試験結果
OSPFの確認コマンドはいろいろありますが、ひとまずわかりやすいところで
「show ip route」でルーティングテーブルの情報を見てみましょう。
L3SW4の確認(show ip route)
経路情報をL3SW5と交換しましたね。
ちなみに頭に「O」がついているのが、リンク情報の交換で作ったルーティングです。
L3SW4#show ip route
Gateway of last resort is not set
1.0.0.0/32 is subnetted, 2 subnets
C 1.1.1.4 is directly connected, Loopback0
O E2 1.1.1.5 [110/20] via 172.17.0.251, 00:31:04, Vlan1700
172.17.0.0/16 is variably subnetted, 5 subnets, 2 masks
C 172.17.0.128/25 is directly connected, Vlan1700
C 172.17.2.0/23 is directly connected, Vlan1702
C 172.17.4.0/23 is directly connected, Vlan1704
O 172.17.6.0/23 [110/2] via 172.17.0.251, 00:31:04, Vlan1700
O 172.17.8.0/23 [110/2] via 172.17.0.251, 00:31:04, Vlan1700
L3SW5の確認(show ip route)
L3SW4と同じようにリンク情報の交換が無事にできたようです。
良かった良かった。
L3SW5#show ip route
Gateway of last resort is not set
1.0.0.0/32 is subnetted, 2 subnets
O E2 1.1.1.4 [110/20] via 172.17.0.252, 00:33:58, Vlan1700
C 1.1.1.5 is directly connected, Loopback0
172.17.0.0/16 is variably subnetted, 5 subnets, 2 masks
C 172.17.0.128/25 is directly connected, Vlan1700
O 172.17.2.0/23 [110/2] via 172.17.0.252, 00:33:58, Vlan1700
O 172.17.4.0/23 [110/2] via 172.17.0.252, 00:33:58, Vlan1700
C 172.17.6.0/23 is directly connected, Vlan1706
C 172.17.8.0/23 is directly connected, Vlan1708
OSPFはまだ語る内容はたくさんありますが、次回以降で。
今回はここまで!ではでは。